生ける伝説日本に降臨! 世界V5のニコラ・ハートマン(63kg級・オーストリア)

 アテネ・北京と63㎏級で、五輪2大会連続金メダルを獲得した伊調馨が今回の世界選手権大会を欠場したのは残念だったが、同級の“伝説のレスラー”が来日し、元気な姿を日本のファンに披露してくれた。その名はニコラ・ハートマン(オーストリア)。欧州選手権五度、世界選手権で五度王者になっている彼女はまさに“生ける伝説”といえる。同級の現在の最強戦士は伊調馨であることに異論はないが、ハートマンは伊調が世界の桧舞台で活躍する前に活躍していた選手。世界選手権初優勝が1993年。94年には、あの山本美憂(世界V3)とともに優勝を飾っている。最後の優勝が2000年。今回の世界選手権を最後に引退するのでは? という声も聞こえてきていたので、試合後のハートマンに直撃した。




Hartmann Nikola

――試合を振り返っていかがでしたか。

「以前に敗れたギリシャの選手に勝つことができたのだけど、アゼルバイジャンとの選手の試合で、クリンチでのミスで負けてしまった。第2ピリオドは後がないと思って自分としては攻めにいったつもりだったのですが、負けてしまいました」

――今大会には五輪王者の伊調馨選手が欠場となってしまいましたが。

「それは私には関係ないことです。なぜなら私は誰が出場しようと、いつも通りにコンディションを整えて、試合に臨みました。それに私はカオリと一度も試合をしたことがないんです。不思議ですね」

――今後もレスリングは続けますか?

「日本のプレスの方が、私のことを気にしてくれているのは、うれしいことです。プレスの人は私が負けると“引退”という言葉を口にしますが、今のところ考えていません。今後ロンドン五輪目指して、トレーニングを続けるかはオーストリアに帰国してからゆっくり考える時間を取りたいと思っています。ロンドン五輪では私は37歳。年齢的にも厳しいとは思ってます」

――ロンドン五輪まで挑戦し続けるには、何が大切ですか?

「レスリングをエンジョイすること。楽しくなければ競技を続けることはできないと思うわ。私はスポーツ心理学や哲学を生徒たちに教えている立場でもあるのですが、自分が打ち込むことを楽しみなさいとも常に言っています」

――さすがは女子レスリング界の“生ける伝説”ハートマン。言葉も哲学的だ!

(取材・文/三次敏之 撮影/矢吹健夫)


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